仕事内容と見合わない【給料】
介護職の給料
一般的に介護職は給料が低く、同世代の給与平均を軒並み下回っているという現状があります。給料の差は年齢が高くなればなるほど大きくなり、50代ともなると300万円近くの差が出てしまいます。肉体的にも精神的にもストレスが多い仕事である上に給料も低いと、そのストレスはさらに大きなものに感じられます。
介護職の給料が安い理由
介護職の給料が安いのは、国によって介護職の給料が定められているからです。介護にかかるコストの主な財源は介護保険であり、介護保険で設定されている介護報酬は医療報酬よりはるかに安く、現場の職員が受け取れる報酬は当然少なくなります。介護職が浸透する前は、医療関係者が介護を担当していました。高齢化によって医療保険制度が危機的な状況に陥ると、介護にかかる費用が大きな負担となりました。その問題を解決するために、医療と介護で保険制度を分ける必要があると考えられるようになりました。そのようにしてできた現状の介護保険制度は、高騰する医療費を削減するための策として設けられたものなので、介護職の給料を安くするための制度ともいえます。
介護職の給料が安い別の理由は、施設側の内部留保が多いことにもあります。ある調査によると、特別養護老人ホームには3億円程度の内部留保があるとされており、全体の内部留保は2兆円にものぼります。ただし、どこの施設でも多くの内部留保があるとは限らず、一部法人がかなりのお金をため込んでいる場合もあります。内部留保はある程度必要なものであって、内部留保があるからといって施設を責められるものではありません。しかし、明らかに度を超えた内部留保がある施設は、介護職をはじめとする労働者を大切にする気がない施設と考えられてしまうでしょう。
介護職への理解が進んでいない
深刻なのは、介護職が誰にでもできる簡単な仕事だと考えられていることです。介護職はきつい仕事で給料も安いというイメージが定着しており、給料が低いことを当たり前だと介護職員自身が受け止めています。人の役に立てる仕事だからと介護職を選ぶ人も大勢いますが、介護職ならできそうと考えて介護職を選ぶ人も多いので、給料が安くても辞めずに働き続けて「搾取」されてしまうのです。給料が安くても続ける人は、介護職を辞めたら他に仕事がないと思い込んで淡々と働き続けてしまうので、苦しくてもなんとか現場がまわる状況が続きます。内部留保を増やしたい経営者は、労働者を安く働かせられるならそのほうが好都合なので、給料が安い状況がそのまま続いてしまいます。国としては、現状で大丈夫なら保険料は低いままにしておきたいところでしょう。安く働くことを受け入れている労働者が減らない限り、介護職の給料の安さは解決が難しい問題なのかもしれません。